医療脱毛に保険証が必要なクリニックと医療費控除の対象になるケースはあるのか
医療脱毛クリニックで施術を受けるとき「病院だし保険証がいるのか?」「そもそも健康保険が使えるのだろうか?」という疑問が湧いてきますね。
医療脱毛は基本的に自由診療となり健康保険は使えませんが、病気が原因の場合は保険が適用されるケースもあります。
こちらでは医療脱毛に保険が適用されない理由や保険が適用される疾病などについてお話ししています。また医療費控除についても詳しく解説します。
医療脱毛で健康保険は適用されるの?
医療やクリニックによっては皮膚科という言葉がつくくらいですから、保険がききそうなイメージがありますが、結論から先に申し上げると医療脱毛に健康保険は適用されません。
医療脱毛クリニックはれっきとした医療機関で、自由診療と保険診療が行われています。
医療脱毛はクリニックが独自に料金を決めてもよい自由診療であり、施術を受けるときに健康保険証は必要ありません。
健康保険には「病気や怪我に対して、診断治療にかかる費用の一部を国や会社が負担する保険」という定義があり、体のムダ毛を脱毛するという行為は病気が原因ではなく、美容目的のため健康保険の適用にならないのです。
しかし病気が原因であれば脱毛に保険が適用されるケースがあります。
医療脱毛でも健康保険が適用されるケース
医療脱毛で健康保険が適用されるのは多毛症やワキガ、多汗症のケースです。多毛症
多毛症とは軟毛が硬毛に変化する病気です。
軟毛とは柔らかく色が薄く細い毛で、硬毛は硬く長く黒々とした毛のことです。
例えば髪の毛や眉毛・ワキ毛・陰毛・男性のヒゲなどは硬毛であり、それ以外は軟毛ですが、多毛症では軟毛が黒々とした硬毛に変化してしまいます。
軟毛が硬毛に変わる原因は体内のホルモンバランスが関係しているといわれています。
女性は男性に比べてムダ毛が少なく薄い傾向がありますが、多毛症になると男性ホルモンが過剰に作られ、男性特有の黒くて硬いしっかりとした毛が生えてくるようになります。
女性の体内で男性ホルモンが過剰に生産されてしまう原因としては、卵巣や副腎の疾患、免疫抑制剤やステロイドの使用などが考えられています。
女性が多毛症になると、口の周りにヒゲのような黒い毛が生えたり、ワキ毛やすね毛などが増えたり、「ギャランドゥ」と呼ばれる陰部からへそにつながる部位に黒々とした毛が生えたりします。
多毛症であるかどうかは、血液検査や超音波・CTやMRIなどの検査を行い、医師が総合的に診断します。
そして多毛症と診断されたら、男性ホルモンを過剰に作り出している原因は何であるかを突き止め治療が行われ、それと同時にクリニックで医療レーザー脱毛の施術も行うことがあります。
女性の場合は外見が非常に気になりますので、物理的に黒く太い毛をなくしていくことはたいへん意味のある治療です。
多毛症の脱毛は美容行為ではなく医療行為だと認められているのです。
ワキガ、多汗症
私たちの身体には、エクリン線とアポクリン線という2種類の汗腺があります。
このうち汗だけではなく、タンパク質や脂質、糖質、アンモニアなどの成分を分泌するのはアポクリン線です。
アポクリン線は脇やデリケートゾーンに分布し、その数が多いと分泌物の量も多く、それらを餌とするコリネバクテリウムなどの菌の温床となり、嫌な臭いを発生させます。
こうして発症するのが、ワキガです。
一方の多汗症は、エクリン線からの汗の分泌量が多いため、ワキガのような臭いは発生しませんが、重度になると手のひらから常に汗が滴り落ちるなどの症状が現れることがあります。
どちらも、これらの症状が疾病と認定されているからです。
ただし、保険が適用されるのは汗腺をメスで切除する「剪除法(せんじょほう)」のみとなります。
なお、この方法は脱毛目的で行うことはできませんが、汗腺とともに毛根組織も取り除かれるため、脱毛効果も期待できるのです。
医療脱毛クリニックの保険適用可否
前述したように医療脱毛クリニックでは基本保険は適用外になっています。
支払い方法で気になることがあればカウンセリング時に確認しておくといいでしょう。
医療脱毛は医療費控除対象?
医療脱毛を受ける際に気になるのが、「医療費控除の対象になるのかどうか」という点なのではないでしょうか?
結論からお話ししますと、医療脱毛は医療費控除の対象にはなりません。
それは、医療費控除とは病気の治療費や、それに付随する器具などの購入費用を対象としており、美容目的とした医療脱毛は対象外となるからです。
ただし、ワキガや多汗症治療を保険適用内で受け、それによって脱毛効果を得られた場合では、「脱毛目的ではなく、治療の副産物として脱毛効果を得られた」ということになりますので、医療費控除の対象になります。
ケースによっては保険適用も!まずは診察を受けてみよう
「毛深い家系だから」「他の人たちも生えていて、処理をしているのだろう」などと思い込まず、まずは一度診察を受けてみることをおすすめします。
ムダ毛の悩み相談は脱毛サロンでも受けてくれますが、それが病的なものかどうかを正しく診断してもらうためには、医療機関の門をたたくようにしましょう。
医師から多毛症であると診断されたら、脱毛に健康保険が適用されるようになります。
施術の内容は通常と同じですが支払う金額はかなり少なくなりますので、もし自身の毛深さに悩んでいるなら、ひとりで心痛めるのではなく、ぜひ専門家の診察を受けてみてください。
医療脱毛クリニックでは自由診療のみで保険診療をしていないところも多いですから、治療は医療脱毛クリニック以外の施設で行う可能性があります。
もし医療脱毛クリニックに行くのは敷居が高いのであれば、かかりつけ医や皮膚科などを訪れてもかまいません。
診察そのものは医療脱毛クリニックでも他の医療機関でも同じようにしてもらえますよ。